
あなた転職活動中って聞いたけど大丈夫なの?転職してきた銀行員が全く使えないみたいな記事もよく見るし、5ちゃんの転職板でもめっちゃ叩かれてたけど

いや、それマジで良く耳にするんだよな。銀行員としてこんなに一生懸命働いているのに、なんでそんなイメージがついているんだろう。なんか自信無くなってきてきた・・・
銀行員の転職が当たり前になってきている昨今ですが、よく「あーだめだめ、銀行員は使えないよ」という厳しいイメージを耳にします。
それが原因で、一歩を踏み出す勇気を失っている方も多いと思います。
何故そういったイメージがついているのか、というと・・・
- 銀行と一般企業では、いわゆる「事務」の内容や性質が根本から異なる。
- 更に銀行で叩き込まれた仕事術が、世間一般的に良しとされている仕事術と、かなりズレているため理解され難い。
- それを知らない人達の「エリート企業から来たし仕事できるんだろうね」っていうイメージとのギャップ感。
ってな感じです。
これって銀行員が陥る大きな罠であり、転職した銀行員のほとんどの人がひっかかってる気がします。
何故このような事態になってしまうのか、その原因についてお話していきますよ。
- 私は銀行にて17年勤務しており、結構ガチめのバンカーでした。
- 転職後は、採用責任者として多様な人材を見てきました。
- その他、人事・財務・経理・総務・労務等の事務責任者として見た際の、銀行員人材の評価をしています。
使えない扱いされる原因
言われてみれば「あーそうだよね、なるほど」って思うけど、銀行で働いているうちはなかなか気づかないもんなんですよ。
初めて新卒で入った会社の「常識」が、その人の仕事に対する姿勢や取り組み方になっていくので、他の会社や世界を知らなければ気づかなくて当然です。
みなさんに新たな気づきがあれば幸いです。それでは見ていきましょう。
業務の互換性が無い
そもそも、一般企業の「業務」と、銀行の「業務」って全く違います。
まずは、皆さんがやっている銀行業務を少し思い出して頭にイメージしてみてください。
- 窓口業務 = 入出金、両替、通帳繰越、諸届事務など
- 後方事務 = 伝票入力、諸届事務、総合振込処理、期日管理
- 個人営業 = 融資相談対応、借換営業、融資事務、期日管理、重要物管理
- 法人営業 = 融資相談対応、業況把握、稟議作成、決算管理、期日管理
こんな感じでしょうか。
では、一般企業の「事務」を見てみましょう
- 営業 = 商品などの自社製品の営業、取引深耕
- 人事・労務 = 採用業務や、その他人事制度の運用、退職手続き、労務相談
- 経理・財務 = 入出金管理、売掛買掛管理、月次/決算業務、資金繰り管理
- 経営企画 = 経営戦略の立案や、経営計画の策定/実績管理
- 秘書 = 役員のスケジュール管理や付随する庶務
- 総務 = 他の職域に当てはまらない業務全て
はい。全然違いますね。一般企業の事務は、銀行における「本部」が果たしている機能です。
銀行では営業店が収益の源泉になっているので、おそらく人員の7割程度は営業店配属になります。退職までずっと営業店一筋、なんて方も珍しくないでしょう。
まずここが一番の大きな原因であって、転職活動の際に求人票を眺めながら、勘の良い方はすぐに気づきます。「あれ、自分って一体なにができるんだろう」と。
求人票には「人事分野の即戦力人材」とか「経営企画業務の経験のある方」等が応募必須要件になっているし、まあ今まで触れたことの無いような業務内容が羅列されていて、結構しょんぼりなります(私もそうでした)

いや、ビジネスもののドラマ見てるときもなんか変な違和感あったんだよね。銀行とは全く違う仕事してるというか世界観が違うというか。でもそれが一般的には普通なんだな。

プロジェクトが立ち上がって、みんな協力して意見や知恵を出し合って徹夜で案件を完成して「やったぜ!みんな!わー!」みたいなドラマ的なもの銀行には無いもんな。ああいうのやってみたい。
業務ツールやITに疎い
これは本当に私は痛感したのですが、銀行員は、世の中一般に普及しているツールやガジェットに対しての経験や知識が圧倒的に貧弱です。
何故なら、銀行が用意した業務システムやツールを使えば銀行業務は全て完結してしまうし、銀行は仕事の持ち帰りが絶対不可なので、家で作業することも無いので、家にPCがなくても全く問題ない環境です。
それに私生活上は、スマホがあれば大概のことはできてしまうので、このような行員がわんさかと量産されている感はあります。
若い世代はタイピングしたことがない若者も増えていると聞きますので、デジタル・ネイティブ世代の行員にもこれは充分当てはまるかもしれませんので注意が必要です。
具体的に言えば・・・
- ExcelやWordが使いこなせない(文字や数字を入力するくらいはできるけど)
- Googleドキュメントやスプレッドシートの存在や使い方をしらない
- 普通のメーラー(outlookとか)を使ったことがない
- Slack、skype、Zoom、Teams等のツールを使用したことがない
- 最悪、WindowsなどのPCも触ったことがない人もいる
これはかなり個人差があるかもしれませんが、皆さん、いくつかは該当するのではないでしょうか。
社会一般的には、このネット社会において、非常にナイーブな情報を数多く保有する銀行で働いているのだから「銀行員はITリテラシーは高いのだろう」とのイメージがあったりします。
しかし銀行は、行員のITリテラシーを高める教育をするのでなく、これらのツールや問題を「物理的に遮断してしまえ!」的な、気持ち良いくらい世の中に逆行したムーブを取っています。
- 支店内のPCはネットから遮断(銀行内のみの社内ネットワークには接続)
- よって、外部とのメール送受信も原則禁止、サイトすら見れない
- なので当然、ITツールのダウンロードすらできず物理的に利用できない
- スマホは支店内に持ち込み禁止、業務にも使用不可
- TwitterやインスタなどのSNSも実質、禁止状態(監視されます)
はい、ヤバいです。ガラパゴス状態ですね。
以上のように、営業でも社外に対してメールを書いたことが無い行員がほとんどですので、転職先で取引先や業者との情報のやり取りでまず躓きます。
その手段がSlackやskypeなどのチャットである場合な言わずもがな、です。
メールでやり取りする場合と、Slackなどのチャットでやり取りする場合の、言葉遣いや空気感のニュアンスの違いがまずわからない。
社外は勿論、社内の上司、役員、社長等と文章でやり取りするって案外難しいんです。
大企業は勿論ですが、スタートアップ企業などは、特に様々なITツールを手足のように使って仕事をしています。本当に良質で便利なツールが今や大量に出回っているんですよ。
そんな中ですよ、
- メーラーってなんですか?
- メールってどうやって書くんですか?
- あー、Excelあんま使えないんですよね、Word?入力だけなら出来ますよ。
- Slack?お菓子かなにかですか?
なんて人が転職してきたら「あ、ヤバい人が来た」って思われても仕方がないですね。

あ、俺ヤバいかも。銀行で給与口座を自行指定されていることもあって、ネット銀行とかもよく知らないし、電子マネーもあんま使ったこと無くて苦手なんだよね。

お金関係や、仕事関係のツールなんかは、全て自行のサービスを強制的に使用させられるから、社会のインフラの進化についていけてないってのはあるかも。
自由に裁量がある仕事が苦手
銀行では「決められたことを決められたとおりに処理する」ことが一番に求められる仕事です。そこに時短や効率化などの自分の発想を活かすことは許されません。
業務に自分なりのアレンジや主張をいれてしまうと、自分の考えの及ばないところで何らかの支障を来すおそれがあり、要らざる事故を誘発するおそれがあるからです。
「こうすれば楽なのに」と思うことがあったとしても、毎回決められたことを決められたとおり正確に処理する。これが銀行員の美徳であると新入行員の頃から叩き込まれました。
そういった業務柄、銀行では全ての業務に規程が完全に整備され、わからないことがあればそれを見ればほとんどは解決してしまいますし、テンプレートや前例などの参考になる資料等も手厚く準備されています。
また、新しい業務が増えても事前に本部が細部にわたりマニュアルやケース別Q&Aなどを作り込んでから展開しますし、わからないことがあっても本部にきけば大概のことはなんとかなります。
以上から、マニュアルや前例がないと仕事が進められないタイプが非常に多いです。
- 想定外の事象が起きても臨機応変に対応する。
- リスク度合いを考えて、最適な方法を決断する
- 自分たちでゼロから作り上げる。
上記のような曖昧なものを忌避する傾向が強いんですね。
しかし認識しておかないといけない事は、世の中の大半の企業は規程も最低限、マニュアルもないということ。業務は属人化しているケースが多く、個人の能力や裁量に大きく左右されるのが実情です。
オーナーが強い会社などは、規程やルールなど飛び越えて社長の一声で全てが決まります。特にベンチャー企業などは、制度も規程も無いに等しく、その場のノリと勢いで動きます。
こんな感じの一般企業の職員からみれば、銀行員は「融通が利かない」「頭が固い」「保守的」「判断が出来ない」と思われるのも仕方が無いのです。
要は、銀行員はゼロから何かを判断すること、企画すること、行動することが苦手なんです。
でもこれって、皆さんが悪いわけではありません。初めて入社した会社でそういった教育を叩き込まれれば、それが自分の仕事術として形成されていくのは至極当然なんです。
この仕事術は銀行業務にとってはドンピシャなので、昔みたいに「一生勤め上げる」ことが前提ならば、このスキルを更に磨き上げていけばよかったんでしょうけどね。
今はそういう時代じゃなくなったからこそ問題点として浮上してきた、ということですね。

銀行って、何か業務で困ったら「知恵を出して考えなさい」じゃなくて「規程を見なさい」だもんね。これが根本的に違うのかもね。

規程を見れば解決するってことは、業務が完全に「定型化」されているってことよね。だからあまり自分で考えなくて良いから楽ではあるんだけど・・面白みは無いわね。
銀行の常識は社会の非常識
どうでしょうか。ここまで読むと、不安にしかならないでしょう。
でもコレって、皆さんが悪いわけでもなくて、ただ自分の職務を全うしようと銀行員のあるべき姿に近づこうと努力した結果でもあるわけなので、それは皆さんが優秀である証拠なんですよね。
今になって思えば、銀行員の皆さんは本当に優秀なんです!そんな優秀な、特に若い人たちが路頭に迷うなんて事があって良いわけがないのです。本当にもったいない!心からそう思います。
でも大丈夫です。心配いりません。
事実、私は39歳にして初転職をして、銀行外の業務に携わりましたが、全然なんとかなっていますし、逆にこっちのほうが自分に合っていたな、とも感じます。
それに外の社会に出て、「銀行の常識は社会の非常識」の本当の意味がわかりました。
この「非常識」っていうのは銀行員を「常識知らず、世間知らず」と非難している意味では無いんです。
ただ、仕事の質や内容やその性質が、一般事業会社のそれと全く違うので相容れませんよね、ってそれだけのことなんですよ。
それを踏まえて、きちんと対策と戦略をたてれば必ず転職活動もうまく行きますし、転職後に面喰らうことも少ないと思いますので、私の経験を皆さんにシェアできれば・・と強く思っています。
そこらへんの「転職関連に対する対策」については別の記事にまとめたいと思います。
この記事が目に止まった1人でも多くの銀行員が実りあるビジネスライフを送れることを願って止みません。それでは!


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