
銀行に就職したのはいいけどこのままでいいのか・・?「斜陽産業」とかネットニュースで良く見るし。毎日疑心暗鬼で働いているんだけど皆はどうなんだろう。

銀行でしか働いたことがないから他の会社がどんなものかよく分かんないのよね・・・。でも大企業で安心感あるし福利厚生も良いし辞めたら勿体ないし・・。
今、特に銀行員の20代から30代の若手行員がこのような不安を抱えながら勤めていることでしょう。
すでに若手行員の離職や、安定高収入路線に入った役席者の離職も散見されるようになってきており、毎年の新卒の補充では足りず、中途採用も行っている銀行も増えてきていますね。
ちょっと前までは「安定・高収入」が売りで、就活市場では人気職種だった銀行員稼業。
何故こんな事態になっているのか、転職をして初めて「銀行」を客観視できるようになった私が「そのワケ」をつらつらと書いていきます。
- 私は銀行にて17年勤務しており、結構ガチめのバンカーでした。
- 転職後は、人事・財務・経理・総務・労務等の実務を経験しています。
- 後方事務/店頭営業/営業事務/個人営業/法人営業/本部勤務と、銀行におけるすべての業務を経験し、みっちり銀行員生活を満喫した上での記事です。
将来を不安視してしまう原因
結論から言うと、自分が働いている銀行の「良くなっていく未来」が見えないからです。
結構キツいんですよ。これに気づいてしまうと。愛行心や誇りがどんどん無くなっていくというか、モチベーションは下がっていく一方です。
なにか銀行が新しい施策を打ち出したり、マスタープランを出す度に舌打ちがでるというか、
あ~。はいはい、またアホなことしよんな〜。うちの銀行どこにいこうとしてんねん。
ってかんじになります。
じゃあ何故、そう感じてしまうのかを何点か以下にざっくりピックアップしました。
やってることが周回遅れ
- あれ?このやり方ってすんごい時代遅れじゃね?
- ってか、この業務って要らなくね?
- このサービスや商品って、明らかに他社サービスの下位互換じゃね?
- なんか銀行業務ってそんな仕事ばっかじゃね?
って思ったことないですか?
私は常々感じていました。なんかもう、やることなすこと全部古い。スピード感も先進性もない。
「新しいな!」ってぱっと見で思えるものでも、中身をじっくり見てみると銀行っぽい古臭いルールや規制や今までの「当たり前」がキレイに散りばめられていて「あ・・うん。」ってなる。
銀行が今まで無駄に育ててきた無駄な伝統ルールや慣習をお客さんに押し付けているから革新的なものが生まれない。
ITを使って業務効率化します!と銘打ってリリースされたシステムは、今まで手作業していた業務をシステム内で完結、ペーパレス化で事務負荷も大幅に削減できることがウリだったはずなのに、何故かチェックリスト(紙)が新規で展開されたりする不思議。
挙句の果てには支店長の指示により、検印や回覧する場合は画面印刷して印鑑を押す・・みたいなギャグみたいなことも朝飯前。

えー・・。これだったら前のやり方のほうが全然楽じゃん。なんでシステム内で完結させてるのに更に帳票ベースでも同じようなことさせんねん・・。どうせこの利用状況もノルマ化されて業績評価項目になるんだろ?

ほんと余計な手間が増えただけね。あ、またチェックリスト(紙)で確認したかってことを確認するためのチェックリスト(紙)が増えてる・・。ほんとウケる。
若手の間ではこんな乾いた笑いが蔓延していました。
正直、「今までやっていること」「これからやろうとしていること」が、かなりの確率でピントがずれているんですよね。
これが続くと、自分の職場や仕事にプライドは持てなくなり、いつの間にか組織に属しているのも恥ずかしくなってきます。
上位層との絶望的なギャップ
まずは下図を見てほしい。話はそれからだ。
- 60代モーレツ世代
PCも勘定系システムもなかった世代で紙とソロバンでモーレツに働いた世代。銀行の礎を築いた世代層であるが、昔ながらの考えをもつ人が非常に多い所謂アナログ世代。PCとかITとか自分には理解できないものが嫌いで、とにかく自分で出向いて見聞きして苦労して得たものしか信頼しない傾向にある。泥臭いことが好きで、ある意味「人付き合い」を極めているといえる。
「汗をかけ」「足でかせげ」「紙でまわせ」「どぶ板営業が華」
- 50代バブル世代
バブル期に大量入行してきたので人員過剰な世代。支店長より年上の支店長代理や店内代理、最悪一般行員までおり、人材もバラエティに富んでいる。新入行員時代の支店長を見て育っているので、役職がつけば「ふんぞり返ってもOK」と勘違いをしており、パワハラやセクハラ、精神論や根性論上等の最後の世代である。ITにもすこぶる疎い。
「俺達の若い頃は」「今の若い奴らは」「酒飲めばなおる」
- 40代氷河期世代
血で血を洗う就職戦線を勝ち抜いてきた猛者世代だが、色々と悲観的。物心ついたときから「平成の大不況」「空白の10年」「リーマンショック」やら経験しているので仕方ない。時代背景から入行人数も圧倒的に少ないことから業務負担も相当大きいので常にオーバーワーク。何から何まで不遇で笑えない。上の世代と下の世代の感覚を両方持ち合わせているため板挟みになって苦労する。ネット黎明期に多感な時期を過ごしているのでややITに明るい世代でもあるが、堪能な人とそうでない人の差が顕著。
「俺らの世代は不遇だから」「夢より安定」「自己防衛でしょ」
- 30代アベノミクス世代
アベノミクスの恩恵を受け、日本経済が比較的良い時期に就職してきた世代。氷河期世代の人員不足を補うべく大量の新卒採用がされた世代でもある。ゆとり世代などと揶揄されるが、比較的モチベが高く陽キャが多く能力も高い印象。ここの世代から自分の生活や趣味にやや重きを置くようになり、会社と私生活を上手く天秤にかけてコスパ重視の判断をするため、仕事命なのか、私生活重視なのか、よく掴めない世代でもある。
「それ、コスパ悪くね?」「人事考課に影響するならやります!」
- 20代デジタル・ネイティブ世代
様々なSNSに囲まれて育っておりIT能力は高く、アナログ的なことや精神論や根性論を毛嫌いする世代。会社に尽くすとか昇進とかお給料などより、自分のやりがいや生き方を重視する傾向が強く、超合理的で優秀だが上述の理由より50代~60代との相性は最悪。飲み会に行く行かないのやり取りは、もはや地獄絵図と言って良いだろう。
「それ、仕事ですか」「残業代出ますか?」「いや無理っすね」
と、まあこんな感じで世代によって劇的に傾向が違います。これは銀行に限らず、他の会社でもだいたい同じでしょうけど。
50代~60代は同一カテゴリ、20代~30代は同一カテゴリと分けられますね。
40代は、どちらの感覚も理解している貴重な年代といって良いかもしれません。
このように、50代〜60代と、20代〜30代の年代層は絶望的に考え方や物事の捉え方が違うのですが、
- 今、銀行を牛耳っているのは50代~60代の役員・管理職世代。
- 若手は上の決定に従うしかないので色々諦める。
- 40代は、2つの世代をつなぐ中間管理職で板挟みになり無事死亡。
という構図に自然になるので若手は自分のアイデアや意欲、向上心をゴリゴリ削られていきます。
これって今の日本企業の停滞をすごく端的に現していますよね。シニア世代が人口にも社会的立場も圧倒しており、若い世代が台頭しにくい。
こりゃ日本そのものが衰退していくわけですね・・。
「当たり前」を強制される絶望感
今の時代、様々なツールやシステム、ガジェットを用いて如何に無駄なく効率的に情報を収集・加工して仕事に活かすかが重要視される時代です。
が、そのような社会の変容も銀行には関係ありません。
- スマホは職場へ持ち込み禁止。
- 職場のPCはインターネット接続不可。
- 外部とのメールのやりとり不可。使用する場合、支店長の許可が必須。
- Slack、Teams、Zoomなどのビジネス必須ツールは全て使用不可。
- FAXでさえも使用不可。
- その他、ITガジェットの持込、使用不可。
ええと。これいつの時代の職場ですかね?昭和かな?平成初期?
個人情報や機密情報の保護の観点からこのような体制になっているのも充分理解はしますが、これはマズい。私が銀行を辞めたのは2019年頃でしたので、今はもう少しマシになっているのかもしれません。
あのね。これでどうやって仕事するんですかね?例えば担当のお客さんと資料のやり取りの際の
「すみません、うちはメール使えないんですよ〜。あ、FAXも無理なんですぅ〜」
って言うときの恥ずかしさといったらもう・・。
なので、書類の授受は基本「紙ベース」の手渡しです。そして基本、電話か訪問かお客さんに来てもらうかの3択です。超非効率で無駄なことを当たり前のように銀行はやっています。
この点をすぐに変革しない点だけでも、今の経営・管理職層の意識や働き方についての感覚が絶望的に乖離していると愕然とさせられます。彼らは未だに昭和を生きています。
彼らの持論は「操作を間違えたり、知識不足で必ず情報漏洩が発生する」なんですが、彼らはそれらのツールを自分が使ったことないから、よく分からないので必要以上に恐れているだけです。Excelさえも使えない世代は少し黙って貰ってていいですか?と言いたい。
今の若い世代はあなた方と違ってきちんと使いこなせますって。デジタルネイティブ舐めんな。
このように、若い世代は自分たちが慣れ親しんだ「当たり前」を取り上げられ、年老いた上位層の「当たり前」に仕方なく合わせた状態で働いています。それはただ「面倒臭いなー」とか「しょうがねぇな〜」じゃ済まないんですよ。
この会社ヤバい、この先大丈夫かよって感じてしまうんです。
多分この問題は、ツールの件だけに留まらず他のあらゆる事に対してもずーっとこうなんやろうな〜、自分が我慢して働き続けるしかないんやろな〜って直感的にわかってしまった途端、銀行で働き続けることが苦痛になってきます。
銀行の今後はどうなる?
古き良き時代の遺物
上記を感覚的に理解している若い世代から見れば、銀行は完全に「古き良き時代」を引きずっている過去の遺物的なポジションになりつつあります。そしていつか消えゆくものだとも感じています。
それを揺るぎないものにしているのは「古き良き時代」を生きてきた年代層(50代以上)が現在の銀行の舵取りをしている事と、現在の銀行のメインの顧客層となっているのは経営層と同じ50代以上の顧客層って事でしょう。
50代以上の層って金持ってて一番人口も多い世代だし、IT苦手だし、安全安心だと言う理由で手数料を払ってでも、労力を惜しまず銀行を利用してくれる世代なので、方策としては間違ってはいないわけです。
要するにサービスの需要と供給の価値観がマッチしているわけなので、若い世代で起こっている変化や進歩に応じて経営体制を進化させる必要性が現段階ではあまり無い、というのが実情です。
胸が高まるような未来は訪れない
残念ながら、今後銀行が大きく変化するような、若手行員の胸が高まるような未来は待っていないと思います。
ちょっと若者世代を意識したような、小手先で二番煎じのサービスを細切れに展開していきながらも基本は現状維持になると思います。
これって、これから色々なスキルを身に着けないと行けない世代からすると本当につまらない。
時代遅れだ、この先消えて無くなるんだとわかっていることをやらないといけない虚無感。これは本当にモチベーション下がるし何のために働いているかわからなくなってしまう。
食い扶持を稼ぐために割り切って・・っていうのもわかりますが、限界がありますよ。
やはり働くってことは綺麗事じゃないですけど、自分も、仲間も、お客様も、銀行も共に成長していっている、みたいな「高揚感」や「ワクワク」みたいなものがないと続かないと思うんです。
だって自分の時間のほとんどを仕事に費やすのだから、そういう「理想」や「未来」がちゃんと見えて、それに若い世代が酔っ払っている組織じゃないと存続し得ない、というのが私の持論です。
だから若手がベンチャーに転職していくんですよ。
よく聞きません?中途退社する若手を嘲って「負け犬だ」「どこに言っても通用せん」とか言っているシニア層のぼやき。あれ、そのままのしつけてそのままあなたにお返しします、と言いたい。
彼らは銀行業務から逃げた負け犬ではありません。銀行では未来が見えないから、安定と高収入を手放してでも、ワクワクする未来が見えそうな会社に移った。ただそれだけのことなんだと思います。
「俺が見てきた奴ら…みんなそうだった。酒だったり、女だったり、神様だったりもする。一族…王様…夢…子供…力。みんな何かに酔っ払ってねぇとやってらんなかったんだなぁ…。」
進撃の巨人 第69話「友人」 ケニー=アッカーマン より引用
これから銀行はどうなるのか。自分の勤めた銀行も含め、今後を見守っていきたいと思います。


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